About Treatments and Procedures
自家培養軟骨移植術(ACI)は、患者さん自身の膝から採取した少量の軟骨細胞を培養し、軟骨が欠けた部位へ移植して「軟骨の修復(再生)」を促す手術です。国内では再生医療等製品の自家培養軟骨「ジャック(JACC)」が代表で、膝の外傷性軟骨欠損症・離断性骨軟骨炎に対して2013年4月から保険収載されました。 さらに2026年1月に変形性膝関節症への保険適用が公表され、適応が広がりつつあります。
膝の荷重時痛(歩行・階段)、運動後の腫れや水がたまる、引っかかり感、しゃがみ込みの痛み、スポーツでの疼痛再発など。軟骨自体は痛みを感じにくい一方、欠損があると周囲の骨・滑膜に負担がかかり、痛みや腫れとして現れます。
転倒やスポーツ外傷で生じる局所的な軟骨欠損、成長期〜若年者に多い離断性骨軟骨炎(OCD)などが主な対象です。関節全体に軟骨摩耗が広がった末期の変形性膝関節症では効果が限られ、骨切り術や人工関節など別治療が優先されます。
X線で骨配列や変形の程度を確認し、MRIで欠損の位置・大きさ、周囲軟骨や半月板・靭帯の合併損傷を評価します。欠損が一定以上で、保存療法(薬、ヒアルロン酸等の注射、リハビリ)で改善しない痛み・腫れが続く場合に適応を検討します。脚の軸ずれ(O脚など)や靭帯不安定があると欠損部に負担が集中するため、必要により矯正骨切りや靭帯再建を組み合わせます。
まずは活動調整、消炎鎮痛、筋力強化(大腿四頭筋・股関節周囲)、体重管理などを行います。欠損が大きい場合、骨髄刺激法(マイクロフラクチャー)よりも、より“硝子軟骨に近い修復”を狙える選択肢としてACIが検討されます。
通常は二段階です。
①関節鏡で欠損部を確認し、痛んでいない部位から軟骨を少量採取して培養機関へ提出します。
②細胞をアテロコラーゲンゲル等で約4週間培養して移植片を作製後、欠損部の不良軟骨を整え、コラーゲン膜で覆うなどして培養軟骨を充填・固定します。
術後は装具で保護しつつ早期から可動域訓練(CPMなど)を開始し、荷重は数週間〜数か月かけて段階的に増やします。移植部の成熟には時間がかかるため、競技復帰は病変サイズや併施術により異なりますが、概ね6〜12か月を見込むことが一般的です。経過観察としてMRI等で移植部の状態を確認します。
合併症は感染・血栓・関節拘縮、移植片の剥離/再損傷、再手術などがあり、アテロコラーゲンへの過敏症がある場合は適応になりません。