About Treatments and Procedures
前十字靭帯(ACL)再建術は、断裂して機能しなくなったACLを、患者さん自身の腱(自家腱)などを用いて新しい靭帯として作り直す手術です。ACLは脛骨が前方へずれるのを抑え、回旋(ねじれ)に対する安定性にも重要な靭帯で、損傷するとスポーツや日常動作で「膝が抜ける」不安定性が残りやすくなります。多くは関節鏡視下に小さな切開で行い、競技復帰だけでなく、半月板・軟骨損傷の進行を抑えて膝を長持ちさせることも目的になります。
受傷直後は「ブチッ(ポンッ)という感覚」と強い痛み、急激な腫れ(関節内出血)が典型です。時間が経つと痛みは落ち着く一方で、
①方向転換・急停止・着地で膝が崩れる
②不安定で踏ん張れない
③スポーツや走行が怖い
④再受傷を繰り返す
⑤運動後に腫れる
などが目立ちます。不安定性が続くと半月板損傷を繰り返しやすくなります。
ACL損傷は、ジャンプ着地や切り返しなどの非接触外傷でも起こり得ます。放置すると不安定性により半月板・軟骨へ負担が集中し、二次的損傷や将来的な変形性膝関節症リスクが高まる可能性があります。特にスポーツ活動が高い方、仕事で膝に負荷がかかる方、日常生活でも膝が抜ける方、半月板損傷を合併・反復する方では、ACL再建術が有力な選択肢になります。
①受傷機転(着地・切り返し・接触など)
②診察(ラックマンテスト、前方引き出し、ピボットシフトなどで前方・回旋不安定性を評価)
③画像検査
で行います。X線で骨折や裂離骨折の有無を確認し、MRIでACL断裂の有無・損傷程度、半月板や軟骨損傷、骨挫傷などの合併所見を評価します。再建術を検討する根拠は、画像での断裂に加え、不安定症状の有無、活動レベル、年齢、合併損傷、将来の希望(競技復帰など)を総合して判断する点にあります。
急性期は腫れと痛みを抑え、まず可動域(特に伸展)を回復させ、筋力低下を防ぎます。活動量が低く不安定感が少ない場合は保存療法(装具・理学療法)で経過を見ることもあります。一方、競技復帰を目指す方や不安定感が強い方では再建術が推奨されやすいです。術後は段階的なリハビリが不可欠で、筋力・バランス・動作の再教育を通じて再断裂リスクを下げます。
関節鏡視下に、移植腱(例:ハムストリング腱、膝蓋腱など)を採取し、大腿骨・脛骨に骨トンネルを作成して移植腱を通し、ボタンやスクリュー等で固定します。必要に応じて半月板縫合/切除、軟骨処置を同時に行います。術後は腫れの管理と可動域訓練から開始し、筋力→ジョギング→ジャンプや切り返し→競技復帰へと段階的に進めます。合併症として感染、血栓、関節拘縮(硬さ)、前膝部痛、感覚障害、固定不全、再断裂などがあり、復帰時期は合併損傷や競技特性で異なります。適切な手術適応の判断と、術後のリハビリ・動作改善まで含めて、安定した膝と長期的な関節保護を目指します。